ヤマハとカワサキの水素エンジンに期待

YAMAHA・KAWASAKIなどが開発中

2021年11月13日・14日に行われた「スーパー耐久レースin岡山」で、KAWASAKIとYAMAHA、SUZUKI、HONDAが水素エンジンを共同で研究する可能性があることが発表されました。
水素エンジンに関しては、TOYOTAはじめとした国内の主要メーカーがすでに開発に着手しており、それぞれに業績を上げています。
各メーカーの中でも、最も早いうちから水素エンジンの開発を手がけてきたYAMAHAでは、2016年から水素エンジンの開発に本格的に携わっています。

カーボンニュートラルの視点からも理想的な水素エンジンに関しては、KAWASAKIも2010年から着目しており、水素燃料の大規模な構築と商用化を目指す企業団体「HySTRA」にも参画しています。
ライバル同士である強豪メーカーが手を組むことによって、今後よりよい製品が開発されていくことが予想されています。

水素エンジンとは

世界的なカーボンニュートラル時代に向けて、最も注目されている技術のひとつが水素エンジンです。
水素エンジンの大きな特徴は、燃焼した後に排出されるのが水だけだということです。
このため、大気汚染対策としても効果的なのが水素エンジンの大きなメリットです。

KAWASAKIはこれまでに液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」を建造しており、水素燃料を安全に運ぶためのタンク製造のノウハウを所持しています。
水素エンジンというのは非常にクリーンとはいえ、発火しやすいというデメリットがあり、バイクのエンジンとして開発する過程でもこの点を解決していかなくてはなりません。

TOYOTAは水素エンジンを搭載した「カローラ」でスーパー対戦シリーズに参戦していますが、エンジンはKAWASAKIが提供しています。
二輪車向けの水素エンジンとしては、KAWASAKIでは直噴方式のエンジン開発をすでにスタートさせています。
一方、YAMAHAでも2016年から水素エンジンの開発をTOYOTA、DENSO、ケン・マツウラレーシングサービスと共同で行っています。

水素エンジンの今後の可能性

水素エンジンはクリーンなだけではなく、ガソリンに劣らないパワーがあることも確認済みです。
KAWASAKIではオーストラリアの褐炭から製造した液体水素を使用していますが、褐炭というのは水分が多く含まれた天然資源で、低品質の石炭のことです。

褐炭は取り扱いが難しく、今までは火力発電などで使われる以外あまり使いみちがありませんでした。
褐炭は埋蔵量が多く、しかも価格が非常に安いため、海路で日本まで運搬して水素エンジンに活用されています。
今後も各メーカーが協力して、よりよい水素エンジンを開発していくことが期待されています。